ポワレとフォルチュニイ展@東京都庭園美術館

概要はこちら→http://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/poiret/index.html

当初は、

20世紀にはいると、パリ・モードは大きな転換期を迎えます。数世紀にわたって女性のシルエットを支配してきたコルセットは放棄され、ポワレに代表される直線的なシルエットのドレスや、フォルチュニィによる布地の美しさそのものを纏う斬新なドレスの誕生です。
(上記サイトから引用)

という、あまりにもナイーブな身体論が前面に押し出されていることがかゆくてかゆくて仕方ない*1ので、そこを批判する予定だったのですが、そうなると、展示の最後でヴィヴィアン・ウエストウッドのデザインした、コルセット丸出しのドレスが出現する理由が宙ぶらりんになるんですよ。それで、色々考えてみた結果、↑の言説はいわゆる「糖衣」で、ラストの展示で「本当はそんな言説を無批判には信じていない」という意志を、解る人にだけ突きつけているんじゃないかな、という結論にたどり着きました。
ただ、これも、展示側が本気で「モードって移り変わるよね☆」という意図でしか置いていないとしたら私は泣きますよ……学芸員も立派に学問の徒ですよね?


ちなみに、デザイン的に一番惹かれたのは、ポワレのドレスの凄まじいまでの細密刺繍やミラーワークでした。自分自身が服を作る時にも、刺繍とかのハンドクラフト的要素を取り込むことが多いので、恐れ多くも共感できますし、ここまでの細密さを要求したことに一種の狂気じみた熱意を感じてときめきました(笑)こういうパラノイア的な作品はとても好きです。

*1:鷲田清一読んだせい!(笑)