文学フリマの戦利品

初めて文学フリマに行ってきました。
時間が時間なので、興味のある記事しか目を通せていないのですが、備忘録的な意味合いでこちらに感想を記しておきます。

Twitter

特に読む前と後のギャップが凄かったのがriywoさん*1の「ある女子高生の考えること」でした。
……実はお恥ずかしい話なんですが、タイトルから勝手に「あー、よくある『後に(本人にとって)黒歴史になっちゃう系』の自分語りだろこれ」と思っていたのです。ですが、読み進めると「女子高生」の存在がフィクション*2で、そのフィクションを作る目的が「哲学のもつ意味、有用性」を広めることである、と明示された瞬間に「これは面白そう!」と前向きな興味を持つに至ったのでした。今まで知らなかった面白い取り組みを知る切っ掛けとして、Twitter本の企画は面白いですし、継続していくと楽しいだろうなと思いました。継続するなら参加してみたいです。

界遊 002号

とうとう買いましたよ!(笑)しかも、文フリではディスカウントも効いたので、よけいにお買い得です。
個人的には第二特集の「2D or NOT 2D, バット アニメーション!」(特に山本寛インタビュー)目当てだったのですが、肝心の山本寛インタビューはやっぱり面白かったです。彼が「アニメに批評は必要だ!」というのは、あくまでも「外部からの参入・交流をもっと積極的に行うべき」という主張の一部なのだと感じました。あ、あと座談会は……次回に期待、という感じでした。ごめんなさい。

ゆと部

Vol.5,6を購入。
Vol.5の特集「あたしゆと部」内の「あたし中二」(id:debedebe)と、Vol.6の「アイドル地獄変」(id:churchill)が面白かったです。ただ、この面白さというのは「自分史の切り売り(=自分語り)」による「覗き見」の面白さなので確かに効果も絶大なのですが、それに頼り切ると「語る内容」を育てられないままに時間ばかりが過ぎていく、という空しく、破滅的な状態になると思います。ちょっとそこが心配だなぁ、と感じました。その危うさもまた魅力の一つなのですが……。

筑波批評

ゼロアカ道場破り号が凄まじく面白かったです。でもバックナンバーなんだもんねこれ……。
「文芸批評家のためのLudology入門――<ゲーム>定義のパースペクティヴ」においてゲームそのものの価値を論じる体系の紹介をしてみたり、「『コンテンツ植民地』日本」において日本の学術出版の危機的状況を指摘し、処方箋を提示してみたり、「フィクションするとは一体いかなる行為か」においては、フィクション「を」語るときに重要な視点を提示してみたりと、さまざまな角度から「ゼロアカ」に切り込んでいく試みが行われています。これは、単体としても興味深い視座として読めると思います。
個人的には、後学のために参考文献も提示していただけるとありがたいと感じました。

*1:blogはhttp://blog.riywo.com/です。

*2:確かに実際の自分語りならば、後述するように、文体ももっと破滅的です。